第298章

「高橋さん、早起きですね」

 山下那美は穏やかな笑みを浮かべた。高橋も特に深くは考えず、ただ頷く。

「ええ、山下さん。今起きたばかりなんですが、お嬢ちゃんと裏庭を散歩されているのが見えまして」

 言いながら、高橋はククに慈愛に満ちた眼差しを向けた。

「山下さんは本当にお嬢ちゃんによくしてくださいますね。朝の新鮮な空気を吸うのは、子供にとっても良いことですから」

 それを聞くと、山下那美は唇を結んで微笑み、少しはにかんだような穏やかな表情を見せた。

「子供が朝寝坊するのはあまり良くないと思いまして。それにククちゃん、昨夜は早く寝たので、お庭を少し散歩しようかと」

 高橋は適当に相...

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